ちょこっと解説Flare FIP.01とFTSOAUのFLR配布に関するQA記事和訳
本記事では、2023年1月に行われたFLRの第一回ガバナンス提案の内容と投票結果についてまとめています。
ガバナンス提案の中身と、可決した結果、初回配布15%以降具体的にどうなるのか?をできるだけシンプルに解説できればと思います。
ガバナンス提案・投票ってなに?
私は難しい単語は操れないので、めちゃくちゃかみ砕いて言うならばこんな感じ?
FlareNetworkやFLRをより良くしようと考える人たちが、
Flareネットワークのルールや仕組みの変更などを提案し、
ネットワーク参加者(FLR保有者)が投票でその提案を採決する
と、私は理解しています。FlareNetwork側からはもちろん、コミュニティ側からでも手続きを踏めば提案を提出することができます。
FlareNetworkのガバナンスルールはこちら(FlareNetworkのmedium記事)で確認できます。
FIP.01では何が提案されているの?
「FIP」とは「Flare Improvement Proposal(Flare改善案)」の略です。1つめの提案なので01と番号がついて「FIP.01」と呼ばれています。
FIP.01の原文はこちらで確認できます。また、ホンダさん(@ShiningMan0925)が日本語訳をこちらで公開してくださっています。
FIP.01での提案内容は初回15%以降の配布方法ばかりが注目されていますが、他にもいくつかあります。ここではざっくり記載しますので、詳細は原文を確認してください。
- 初回15%(4,278,738,205 FLR)配布後、残り配布分24,246,183,166 FLRをWFLR保有者に36カ月かけて配布する
- FLRトークンのインフレ率の引き下げ
- クロスチェーンインセンティブプール:年率3%または年率10%のいずれか低い方を支払うよう構成
- クロスチェーンインセンティブプール配当:Flareにブリッジされ、Layer CakeなどのFlar セキュアブリッジを使用しているすべてのバリューに対して、クロスチェーン インセンティブ プールの支払いを均等に加重
- インフレ率の割り当て:FTSO(70%)、バリデータ(20%)、デフォルトのステートコネクターセット(10%)
- エスクローツールの有効化
①の配布方法に関する変更がトークン保有者に一番直接的に影響する部分に見えるので注目されるのは最もです。
初回配布分を全売却した場合は以後の配分が受け取れず、受け取り総量は大きく減ってしまいます。
しかし、初回配布分を売却せずにラップ&委任し続けた場合は当初の予定よりも受け取り総量は増える可能性が高いとされています。
また、配布量だけでなく②の提案「インフレ率の引き下げ」も非常に重要です。
FIP.01原文にもあるように、現状FLRのインフレ率は10%ですが、FIP.01可決で以下のように変更されます。
「1年目10%、2年目7%、3年目以降5%に引き下げ、完全希釈ではなく、供給可能量に基づいて計算される年間50億FLRトークンを上限とする」
FIP.01賛成派はこのインフレ率引き下げに期待しています。
FIP.01はインフレの設計が変わるのがかなりデカいと思っていて、昔のままだとインフレ率が高すぎる(トークンの総数に対してインフレ率が計算される)からエコシステムをマトモにするには提案(循環供給量ベースでインフレ率を計算する)は通すしかない。 #FLR #Flarenetwork
— Wrappedパンドミさん☀️ (@danemon8038) November 26, 2022
もしFIP.01が否決されインフレ率が高いまま & 市場がXRPスナショ組のみに限定されると、SGBのように価格下落・低迷のおそれがある。ので、私はエアドロ権利者だけどFIP.01に賛成派です。表面上の配布量に惑わされてはいけない。 https://t.co/hXysvTTv5u
— 波々紋太郎 (@naminamimontaro) January 8, 2023
FIP.01が否決されインフレ率が高いままだと価格下落・低迷すると思います。私もFIP.01に賛成です。 https://t.co/I1HhhQgvcM
— sugumatu@初期Bitcoinマイナー (@sugumatu) January 10, 2023
最後の⑥エスクローツールに関しては、委任報酬と①で得られる配布分の受け取りを保留することが可能になると思われるため、個人個人の状況にもよりますが活用したいと考える人もいるかもしれません。
エアドロップに関する点ばかりがクローズアップされがちですが、これら複数の提案を含むガバナンスであることを理解した上で、投票に参加するかたはご自身の状況も踏まえて判断していただければよいと思います。
投票のイメージ
投票には告知期間/投票期間の2つのフェーズがあります。
- 告知期間:2023.1.14〜21
この期間にランダムスナップショットが取得され、ウォレット内のWFLR量がそのウォレットの有効票数となる(1/20 4:00以降にスナップショットが発生するとFlareNetworksからのツイート有り) - 投票期間:2023.1.21 16:00〜1.28 16:00
この期間にFlarePortalのvoteページから投票を行う。投票出来る票数は告知期間に取得されたランダムスナップショット時点での保有WFLR量となる。
サンプルとして、2022年末に実施されたSongbirdのガバナンス投票の時の画面です。
投票が開始されると、おそらくFlareのGovernance Proposals内「List of proposals」に以下のように「Active」な提案として表示されます。
WFLRを保有するウォレットを接続の上、投票ページに進みます。
賛成なら「Vote For」反対なら「Vote Against」をタップしてトランザクションを承認するだけです。
※こちらはあくまでSongbirdの投票画像なので、Flareでは若干違う部分があるかもしれません。
ちなみに、このSongbirdの提案(STP:Songbird Test Proposal)の中身は「FTSOプロバイダーのVotePower上限を10%から2.5%に引き下げる」というものでした。
FIP可決/否決の条件
FIP.01は単純多数決での採決です。
ガバナンスルールに関する資料によると、FIP採決の条件はFlare財団による提案とコミュニティによる提案とで異なります。
投票に参加した人たちによる単純多数決で可決
コミュニティによる提案の採決基準は3種類あります。
- 単純多数決:投票数の50%以上が賛成で、かつFLRトークンの総供給量の30%以上の投票があれば、その提案は成立する
- スーパー・マジョリティ:投票数の66%以上が賛成で、かつFLRトークンの総供給量の50%以上の投票があれば、その議案は成立する
- スーパー・スーパー・マジョリティー:80%以上の賛成票と70%以上の賛成票があれば、その提案は成立する
今回提出されているFIPはFlare財団による提案なので、「投票参加者による単純多数決」で採決されることになります。
投票結果
2023年1月21日~28日でFLRホルダーによる投票が行われ、結果は可決となりました。
最終的な票数などは以下の通りです。
参考:STP-1の結果を見てみよう
先述の「投票イメージ」のところで紹介したSTP-1の採決条件と結果の例を見てみましょう。
SongbirdはFlareのカナリア(検証ネットワーク)という特性上、様々な検証をスムーズに行う為、STP採決条件は緩めになっています。今回は以下のように条件が設定されていました。
提案は、コミュニティから極めて不評であることが判明しない限り、受理されます。したがって、投票数の過半数(50%以上)が反対票を投じ、さらに投票可能な票の75%以上が投票された場合のみ、提案は却下されます。
おまけ:わかりやすいパンドミさんのSTP解説スレッド
ひっそりと始まりそうなSTP(Songbird Testing Proposal)とは?☝️🐻❄️
— Wrappedパンドミさん☀️ (@danemon8038) December 19, 2022
STPの目的は、SongbirdNetworkがテストのための有用性を制限しないようにする提案です。これを実現するために、STPはコミュニティの大反対に合わない限り自動的に実行されます。
1/
そしてこちらがSTP-1の結果です。実際のページはこちらから。
STP-1の提案内容としてもFTSOプロバイダーの偏りを解消するものであり、コミュニティに受け入れられる結果となっています。
初回15%以降の配布に関するFTSOAUのQA記事和訳
委任報酬のFTSOプロバイダーであるFTSOAUが、初回15%以降の配布に関して寄せられた質問を元に執筆した記事がシンプルでわかりやすかったので和訳してみます。
原文「What Happens After The First 15% Distribution」はこちらです。
初回15%分配後の流れ
参加者は、TDEで15%のFLRを受け取ることができます。TDEは1月9日午後11時59分(UTC)に開始され、完了までに数時間かかる予定です。
取引所からFLRを受け取る予定の方は、取引所がFLRを配布するまで待つ必要があります。配布を確認した取引所の最新リストはこちらです。
FIP-01が実施されるまで、これ以上のトークン配布は行われません。
提案が可決された場合、残りのトークン(24,246,183,166 FLR)は、FLRトークンをラップした人に36ヶ月にわたって毎月、一律で配布されます。
さて、肝心の内容ですが、よくお読みください。
毎月、3つのブロック(スナップショット)がランダムに選ばれます。各ブロックでは、各アドレスが保有するFLRの量が計算されます。
簡単に言うと、3つのスナップショットを平均して、その月の数値を出します。実際の計算式は、FIP-01提案書の下部に記載されています。
これで、今月のエアドロップで受け取るFLRの数が決まります。
このプロセスを36ヶ月間繰り返します。
トークンを受け取ったウォレットや取引所からトークンを移動しても問題なく、3回のスナップショットでウォレットにあるWFLRの数だけが問題になります。
あなたがトークンの一部を売ったとしても問題ではありません。
あなたがエアドロップした元の金額の10倍を購入しても問題ではありません、それはあなたが3つのスナップショットのそれぞれの間にあなたの財布にあるWFLRが重要なだけです。
寄せられたご質問の一例にお答えします。
Q:FLRのドロップについて、15%を別のウォレットに移動して委譲した場合はどうなるのでしょうか?残りの85%を受け取るにはどうすればいいのでしょうか?
A:3回のスナップショットであなたのウォレットにあるWFLRが問題になるだけです。
Q:私がこのことを正しく理解していることを確認するために、私の15%のエアドロップはCoinbaseを通して来るでしょう。その後、ウォレットに移動し、残りの85%は時間の経過とともに私のウォレットに到着するのですか?
A: 3回のスナップショットであなたのウォレットにあるWFLRが問題になるだけです。
Q: もし私が自分のトークンをデリゲートに移動させたら、他のエアドロップが私であることをどうやって知ることができますか?
A:3回のスナップショットであなたのウォレットにあるWFLRが問題になるだけです。
Q:FLRを受け取ったアドレスから委任しなければならないのですか?それとも15%をBifrostウォレットに送って、そこから先に委任することができるのでしょうか?
A:3回のスナップショットであなたのウォレットにあるWFLRが問題になるだけです。
Q:Uphold取引所で私のFlareが送られてきています。もし私がそのすべてをBifrostウォレットに送って委任した場合、今後のエアドロップはBifrostウォレットに送られることになりますか?
A: 3回のスナップショットであなたのウォレットにあるWFLRが問題になるだけです。
これで、あなたの具体的な状況は関係なく、高レベルのコンセプトを理解することがより重要であることをご理解いただけると思います。
この提案が拒否された場合、最初のエアドロップを受け取った同じセルフカストディウォレットと同じ集中型取引所は、36ヶ月間、毎月1回のエアドロップを受け取ることになります。
1月11日更新 「あなたのウォレット」とは、あなたがトークンをエアドロップされたウォレットだけでなく、あらゆるウォレットを指します。スナップショットは、Flareブロックチェーン上のすべてのアドレスをスキャンし、WFLRを探します。
FTSOAU[What Happens After The First 15% Distribution]
究極シンプルに、以下の通りと理解すればよいということですね(笑)
可決:「WFLRを保有しているウォレットにWFLR量に応じて配布される」
否決:「初回15%を受け取ったウォレットに残り85%が配布される」
可決時の「WFLR量に応じて」というのは、計算式があります。FIP.01原文の一番最後にありますが、↓の記事で仮の値を使って実際に計算していますので、ご覧になってみてください。